おこばち研修会

2019年9月21日、22日に開催された「おこばち研修会」に参加したときのことについて。

おこばち研修会―
いしばし病院(私が2度入院した小樽にある病院)の関係者が毎年9月に主催する、アディクションに悩む人たちのための研修会。小樽の天狗山にある“おこばち山荘”という施設で一泊二日で行われる。
アディクションとは酒やギャンブルなどに関する悪習慣のことで、嗜癖とも言う。研修会では体験発表、パネルディスカッション、ドクターの講演などがある。また、夜を徹して参加者同士が語り合う会が恒例の名物企画となっている。
今回の参加者は約180名で、入院中の人や病院スタッフを除いても7割程は自主的な参加者だった。

潮会とは、依存症治療のためにいしばし病院とつながったすべての人が所属する会である。

私がこの研修会に参加するのは今年で3回目となった。しかし過去2回はいずれも入院中の参加であって、自主的に参加したのは今回が初めてだった。そして今回はとても感じることが多く有意義な時間になった。



そもそも、依存症からの回復にはGAなどの自助グループに根気よく通い続けることが最重要だと言われている。しかし私は2月に退院して以来、一度も自助グループには顔を出していない。入院中には、必ず通い続けると宣言していたが、回復のためにしていることと言えば週2回の外来通院くらいだ。

やはり自分に甘いというか、自分の病気ひいては人生に向き合う姿勢に真剣味が足りないのだろう。過去に何度も同じ失敗を繰り返しているはずなのに「私は大丈夫」と、自助グループに足が向かない。

GAのミーティングは出席さえすればきついことなど何もなく、逆に心がすっきりする。ただ、単純に通うことが面倒くさいのだ。



そんな私が珍しく前向きに参加した研修会。まあ、知り合いと将棋を指すことが楽しみなお泊り会、くらいな感覚で申し込んだ。(ちなみに棋力はウォーズ2級。)


3年前の初回入院時から私が口癖のように使っている言葉がある。

「病気だから仕方なかった。申し訳なく思う気持ちも罪悪感もない。」

これは本音だ。ギャンブルのために迷惑をかけてきた人たちへの謝罪の気持ちや、越えてしまった一線への罪悪感を、未だに心の底からは持つことができていない。


今回の研修会でもこの言葉を使っていた。だが、わずかではあるが心境の変化を感じることがあった。

息子がギャンブル依存症だというある母親の体験談が、まるで私の母親の話を聞いているようだった。それを聞いていて自然と涙が流れてきた。この瞬間、自分が家族や周囲の人たちのおかげで存在できているのだと実感できた。

もともと持ち合わせていなかった心を獲得したのか、はたまた長年ギャンブルに浸っていたことで失った心が回復してきたのか。いずれにせよ、少しは前進できているのかなと思えて嬉しかった。

私もまだ人間らしく生きていける。



過去2回の参加では入院中の治療プログラムの一環として表面的にこなしていた。だが今年は(参加の動機こそ不純であれど)、得るものもあり価値ある時間にすることができた。真摯に病気と向き合って生きている人の言葉は心に響く。


(と、書いてきたのだが。この時点では自助グループに通うつもりは無い…)

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