一人でパチスロ

初めてパチスロを打ったときの刺激は相当なものであった。太郎が帰った後、私は一人でホールに通うようになった。

太郎が帰ってから夏休みに入り私が帰省するまでの約2週間、ほぼ毎日パチスロを打った。一日に数万円使うこともあった。最初の勝ちの印象が強すぎて金を突っ込むことに既に抵抗がなくなっていた。

軍資金(俗な言い方だがあえて使っていく)はどうしていたか。

大学入学後、毎月6万円の仕送り(家賃は別)をもらっていた。それと少しだけビアガーデンでバイトもしていた(ビアガーデンは一カ月の契約だったが二日連続で寝坊した折にバックレてしまったのだが)。これらを軍資金にギャンブルを楽しんでいた。



だが、この金は使い込んではいけないものだった。

夏休みに一カ月半ほど帰省したのだが、その期間中の計画をいくつか友人と立てていた。その一つが自転車で関東を一周することだった。しかし金が足らず、そもそもクロスバイクが買えない。とりあえず友人に謝るしかなかったが深く反省したわけではなかった。

ギャンブルが原因で反故にしてしまった最初の約束だった。


この帰省期間には太郎と一緒に早朝から秋葉原のパチンコ屋に行ったこともあった。初めて開店前の入場抽選を受けて、興奮しながら300人ほどの列に並んだことを覚えている。この時は所持金が5千円しかなかった。すぐに無くなり、昼食代・飲み代・帰りの電車代を太郎に出してもらった。


クレジットカードを使い始めたのもこの時期だった。

初めてのカードは大学入学直前、スマホを購入した際に店員の勧められて所持したものだった。母は心配したが、クレジットカードを持つことに大人っぽさを感じた私はそんなことは意に介さなかった。枠は10万円だった。

所持金がないまま友人と飲みに行くと、私はここぞとばかりにカードを使った。割り勘分の現金を友人から集めた。そしてパチスロを打った。


この二カ月ほどの間に私の金銭感覚はひどくルーズになっていった。

しかしこれらのことに危機感を覚えることはなかった。



そのまま夏休みが明け、ひどい後期が始まった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました