学生ローン

ギャンブルに起因する最初の大きな異常が顕在化した。



長期の帰省から札幌に戻ると、2011年大学最初の夏休みが終わった。この時点でクレジットカードの支払い残高は3万円程になっていた。


後期課程が始まるが、足は学校に向かなかった。一週目はオリエンテーションがほとんどだから出席しなくても大丈夫だ、と言い訳をしてホールに通った。

二週目も学校ではなくホールに通った。今週もまだ出席日数的に大丈夫だ…。


しかし、次の週になっても学校には行かなかった。いや、行けなかったのだ。当然この時点では知る由もなかったが、私は既に立派なギャンブル依存症者になっていた。

もう学校へ行かないことについて言い訳もしなかった。とにかく開店から閉店までパチンコ屋に入り浸った。

ただ、収入といえば月々の6万円の仕送りのみ。打っていたのは20円スロット。となれば軍資金が続くはずもなかった。


インターネットで金を借りる方法を調べると「学生ローン」というものを見つけた。なんと学生でアルバイトをしていなくても貸してくれるという。親への連絡もいかない。

すぐにネットの申し込みフォームに記入をして送信をする。しばらくすると電話がかかってきて、利用用途など数点を確認される。その後、学生証や(住所確認のための)公共料金の明細書の写真を送る。数時間のうちに最大10万円の借り入れが可能になった。


借金に対する正常な感覚はなかった。

10万円あれば無敵だと思えた。返せなくなるとは微塵も考えなかった。



うまくいくはずはなかった。

11月上旬、後期が始まってから一カ月と少し経過していた。この間、学校へは一度も行かなかった。毎日開店に合わせて自宅を出て閉店時間にホールを出た。


学生ローンで借りた金も全て使い果たした日の帰り。電車に乗ることもできず歩いていると、号泣していた。

自分が思い描いていた大学生活と現実の差に愕然とし打ちひしがれた。

両親にも申し訳なかった。大学に行ってないことももちろんそうだが、このような状況になるまでギャンブルを止められなかったことが情けなかった。

ここにきてようやく後悔と自責の念が湧いてきた。



よし、明日からは心を入れ替えて学校に行こう。

とはならなかった。これから十年近く繰り返すことになるのだが、こういった状況に陥ったときに私がとる行動はただ一つ。


ひきこもりである。

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