一度目の退院後のことについて。(前回: https://hinatanideyo.com/starwars1/



2016年11月10日、いしばし病院から一度目の退院をした。入院中ではあったが、2011年にパチスロを打つようになって以降では初めて、ホールに入らない日数が3カ月を越えて続いていた。そして、 私なりにギャンブル依存症であることを自覚し、賭け事をしない決意を固めていた。


大学入学時よりも心は軽く、希望に満ちていた。

2016年度の後期は休学していたのだが各教員に話を通し、特例で冬タームから授業への出席を許可してもらった。後期終了時にはすべての授業において過去の成績の修正という形で単位を認めてもらった。フル単(仮)だ。卒業に向け好調な出足だった。


その一方で、欲求との葛藤もあった。

例えば、外出中に宝くじ売り場の前を通り掛かると動揺した。宝くじを購入したらどうなるのだろうか。側のベンチで悩むこと約30分。また、駅の券売機の前では千円札3枚を握りしめて立ち尽くすこと約15分。その3枚をICカードにチャージせずパチスロを打ってしまいたかった。

葛藤の末、無事に自宅に着くと安堵と、それ以上の疲労を感じた。いつまでこんなことで苦しまなければいけないのだろうか、と。



依存症からの回復には通院、特にGAなどの自助グループへの参加の継続が重要である。そう言われていることを入院中に知り、私は必ず参加し続けると語っていた。この含みを持たせた表現はつまり、退院後には参加が続かなかったのだ。


葛藤に苦しみ不安が増していく反面、私は病識を薄れさせていった。退院後一月で一切の治療行動から離れた。

「まあ、いいか」

この安易な妥協はまさに、私の病識の甘さを示していた。何かしら言い訳を考えては自助グループを遠ざけていたが、しばらくするとそもそも自分には治療が必要だという認識が無くなっていた。ギャンブルをやらなければそれでいい。



「自分に限っては大丈夫」

ダークサイドの影は刻々と迫っていた。

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